増築をされているので複雑な屋根形状をしています。瓦一枚一枚をコーキングで止めるラバー工事をされていましたので、一枚づつカッターで切りながら瓦撤去作業を行いますので通常より時間がかかります。しかしこういった所にも施主様の住まいを大切にしている気持ちが感じられました。このラバー工事については賛否両論がありますが、こちらのお宅に関しては高台に位置している関係上、効果的な工事でと言えます。

増築側の瓦を降ろした下地の状態です。横に等間隔に走っているのが瓦を引っ掛ける瓦桟です。軒先瓦とケラバ瓦以外は、この瓦桟にただ引っ掛けているだけです。こちらのお宅はラバー止めで全ての瓦を止めていましたが、高台に立地しているので吹き上げる突風等で瓦がズレる事も心配だったそうです。

こちらが新築時からの下地の状態です。野地板には数か所の経年劣化による破損個所が見受けられました。防水紙がビニール製の物を使われていて、パリパリに砕けていました。スズメの巣もかなりの数がありました。これで本当に雨漏れがなかったのか、と思い確認したところ、奥様が以前、押入れに雨漏れがあった事を思い出されました。恐らくそれで瓦止めラバー工事をした可能性がありますが、根本的な改善にはなっていなかった訳ですけど、その後の雨漏れが無くてよかったと思います。

太陽熱温水器を残すために通常は移動しながら施工しますが、配管に余裕が無い為に移動せず持ち上げて施工しました。瓦の総重量プラス太陽熱温水器重量で屋根にはかなりの負担が掛かっていたと思われましたが。　瓦48ｋｇ/㎡に対しガルバ6ｋｇ/㎡で8分の1に軽減されるので太陽熱温水器が乗っていても安心です。

12ｍｍの構造用合板を貼った上に防水紙を貼っていきます。この防水紙が屋根の雨漏れを防いでくれています。防水紙だけでも雨漏れはしませんが防水紙の劣化や剥がれを防ぐ為にも上に屋根材を葺きます。6年前の東日本大震災後は屋根材が思うように入手できず、しかし雨漏れがしていたお宅はこの防水紙だけで2～3カ月屋根材が入荷するまでの間、雨漏れから住まいを守りました。

軒先からガルバリウム鋼板を葺いていきます。瓦にしてもカラーベストにしてもガリバリウム鋼板にしても縦葺き以外の屋根材は全て軒先（下から）から屋根材を施工していきます。カラーベストへのカバー工法は問題ありませんが、瓦を剥がしてガルバリウム屋根にリフォームする際は断熱性、防音性においても屋根材に断熱材があると効果的です。

屋根のてっぺんの棟の下地です。ガルバリウムの屋根材にすると棟包との間に入っている棟下地が木製の貫板ですと内部結露が発生しやすくなるので樹脂製の下地が結露しても棟包を止めている釘の保持力を低下させずに釘抜きを防止してくれます。

棟包板金も谷板金も施工し完工です。屋根材の色はグリーンをお選びになられまして、屋根工事の続きで外壁サイディングの塗装工事も淡いグリーン系をお選びになられ塗装工事も請け負いさせていただきました。